【オモテ面】

『ヤングケアラー』という言葉をご存知でしょうか?
18歳未満の児童で、家族等に病気や障がいがあったり、介護が必要な場合に、そのお手伝いをしている子供たちのことを指します。
令和3(2021)年4月12日に、その実態を調査した、初めての全国調査の結果が発表され、それ以降、ニュースや情報番組等で取り上げられ、耳にした方も多いかと思います。

中学生の17人に一人、
高校生の24人に一人は
ヤングケアラーという実態。

 厚生労働省のWebサイトを見ると、ヤングケアラーについて「ヤングケアラーとは法令上の定義はありませんが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている児童とされています。」との表記があり、下記の一般社団法人日本ケアラー連盟の図版が引用されています。
 同法人では「家族にケアを必要とする人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子供たちのことです。
ケアが必要な人は、主に、障がいや病気のある親や高齢者の祖父母ですが、きょうだいや他の親族の場合もあります。」と定義されています。
 このヤングケアラーに関して、その実態はどうなっているのか?
 厚生労働省と文部科学省は令和2年12月から令和3年1月にかけて、『ヤングケアラー』の初めての実態調査を実施、公立の中学校1,000校と全日制の高校350校を抽出して2年生にインター
ネットでアンケートを行い、合わせておよそ1万3,000人から回答を得ています。令和3(2021)年4月12日、国のプロジェクトチームの会合で調査結果が公表され「世話をしている家族がいる」という生徒の割合は、中学生が5.7%でおよそ17人に1人、全日制の高校の生徒が4.1%でおよそ24人に1人という結果が発表されました。

ケア対象者で
最も多いのは
「きょうだい」という実態。

 この発表を受けて、各種マスコミ等でも様々な報道がされましたが、東京新聞のWenサイトでは、下記の図版のようなヤングケアラーの方々が誰をケアしているのかの内訳が表示されています。
 一般的には中高生における家族のケアというと「両親や祖父母」と思いがちですが、実際には中学生で「きょうだい:61.8%」、高校生でも「44.3%」が一番多いケア対象者となっています。この結果は何を意味しているのか?「両親」や「祖父母」以上に「きょうだい」にケアすべき対象者がいるということは、やはり何がしかの「障がい」を持った「きょうだい」がおられると推測されるわけです。
 文部科学省の発表した『平成29年度通級による指導実施状況調査結果について』(調査期日:平成29年5月1日)によると、同資料の『通級による指導を受けている児童生徒数推移(平成5年度~平成29年度)』では、平成5(1993)年度から平成29(2017)年度の24年間の推移で、中学校で296名から1,195名(4.04倍)、小学校で11,963名から96,996名(8.1倍)、合計で12,259名から108,946名(8.89倍)と増加しているとの事です。
 世の中全体は継続的な少子化傾向であり、それが様々な経済的な課題を生んでいます。その中で明らかに発達障がいをはじめとする障がい児は増加しているのです。
※出典:文部科学省『特別支援教育について』
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1406456.htm
平成29年度特別支援教育に関する調査の結果について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/1402845.htm

■東京新聞TokyoWebより
https://www.tokyo-np.co.jp/article/97608

【ウラ面】

少子化の時代にも
関わらず
増え続ける障がい児。

 下記のグラフは『通級による指導を受けている児童生徒数の推移』で、平成5年度から平成29年度までの障害内訳別に見た障害児の推移を表したものです。
 公立小中学校だけを対象としていますが、この24年間で約9倍と増えています。これは発達障害の認定が進んだことによって、それまで「障がい児」とされていなかった児童も「障がい児」と認定されるようになったという面もありますが、増えている状況であるのは明白です。
 またその下の図版は令和2年7月に発表された厚生労働省の『障害者白書』に掲載されている『特別支援学校等の児童生徒の増加の状況』の図版です。データの出所は文部科学省です。この図版の右側の「義務教育段階の全児童生徒数」を見ると2009年度のには1,074万人いた全児童生徒数が、2019年度には973万人と10年間で101万人も減少し、逆に特別支援学校や特別支援学級に通うお子さんは、約25万1千人から約48万6千人と約23万5千人増加し、構成比率も2.3%から倍以上の5.0%と増加しています。それもわずか10年でです。
 現在の日本は、誰もが知る少子化の世の中です。その時代にあって、障がい児は増えているのです。

ヤングケアラーが存在する
背景にある障がい児の増加
グループホームの必要性。

 このような現状から推察されるのは、ヤングケアラーのケア対象で最も多いとされる「きょうだい」とは何らかの障がいをお持ちの「きょうだい」のお子さんであるという事です。
 おそらくヤングケアラーと称される児童にとっては各家庭内の話であり、意識するまでもなくケアをすることが当たり前の状況であったと思われます。本人にとっては「それが当たり前」という環境で育ってきているのは想像に難くない話かもしれません。
 しかし、ヤングケアラーの皆さんにも本来は他の同級生と同じように、自分の望む進路を考えたり、その時期でないと経験出来ない学校生活を思う存分送る事が出来る権利があるはずです。その事を社会全体で考え、支える必要があると思います。
 家族として「きょうだい」のケアを行うことは素晴らしい事であり、美しい事ではありますが、それをいつまでもヤングケアラーに担わせるのは、おかしな話ではないでしょうか。
 障がい福祉サービスの中には「放課後等デイサービス」という支援もあり、当法人においても『ほたる学園』として、運営しています。ただ、これは障がい児=小中高生の間だけであり、特別支援学校や特別支援学級を卒業後は一人の社会人としての選択をせざるを得ません。
 当法人のグループホームには、高校出たての19歳から入所される方々もおられます。それぞれご事情は異なりますが、そのような現状があることも、私たちが障がい者グループホームに対して『一室でも多く、一日でも早く。』という思いで展開している理由があるのです。
 とある岐阜県内の特別支援学校のご父兄が、当法人の施設の見学に来られた時のエピソードがあります。その施設は「就労継続支援B型作業所」と「生活介護」の施設でしたが、お子様は、まだ小学部のご父兄の皆様にも関わらず、卒業後の進路の「仕事場」に関する話以上に「グループホームをさらに作って欲しい」とのご要望が強くあったとの事です。
 ヤングケアラーのみならず、ご両親、ご父兄、ご家族が、障がいのある方々の先々を思い、グループホームの存在を強く望まれている事が分かるエピソードでした。この想いを実現すべく当法人はさらに前進していきます。